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2011年10月31日 (月)

ほんとの空がみたいとふ、智恵子さんに寄り添う。part.2

※つづき 前のページから

Image_2

智恵子抄】で、光太郎が描いた、純真無垢な女の智恵子さんがあまりにも有名になり、智恵子抄から一人歩きし出した。そんな感じで、光太郎に創られた造形美の妻、智恵子像が、たぶん、日本人には、受け入れられ、容易く、映画や歌謡曲やドラマに飛躍していったのでしょう。

そんなことは、ほんとうに、智恵子さんは望んでいたのか、否か。それを知る由もなし。天に昇った智恵子さんに訊ねる術も、持ちえないけれど、【
智恵子抄】のなかで、恋する智恵子さんの姿を如実に物語る詩が、一編ありました。『人に』という詩です。


ここに居る智恵子さんは、一途です。誰からも祝福される今どきの恋愛ごっこではなく、命懸けの恋に突進するかの勢いがあります。そして、光太郎と智恵子の二人だけの甘い時間は、誰にも理解できない、けれど、二人には、もうこれ以上表現さえもできない程、恋人に抱かれるために、天空を駈けてくる天女にも似て、透明で美しいと想います。きっと、この時の智恵子さんの肌は、透き通るほど、白く輝き、燃えたぎる血潮で、その胸の内は、紅に染まっていたことでせう。

 


       人 に


遊びぢやない
暇つぶしぢやない
あなたが私に会ひに来る
――画もかかず、本も読まず、仕事もせず――
そして二日でも、三日でも
笑ひ、戯れ、飛びはね、又抱き
さんざ時間をちぢめ
数日を一瞬に果す

ああ、けれども
それは遊びぢやない
暇つぶしぢやない
充ちあふれた我等の余儀ない命である
生である
力である
浪費に過ぎ過多に走るものの様に見える
八月の自然の豊富さを
あの山の奥に花さき朽ちる草草や
声を発する日の光や
無限に動く雲のむれや
ありあまる雷霆(らいてい)や
雨や水や
緑や赤や青や黄や
世界にふき出る勢力を
無駄づかひと何(ど)うして言へよう
あなたは私に躍り
私はあなたにうたひ
刻刻の生を一ぱいに歩むのだ
本を抛(なげう)つ刹那の私と
本を開く刹那の私と
私の量は同(おんな)じだ
空疎な精励と
空疎な遊惰とを
私に関して聯想してはいけない
愛する心のはちきれた時
あなたは私に会ひに来る
すべてを棄て、すべてをのり超え
すべてをふみにじり
又嬉嬉として
                         

                       高村光太郎 作:大正2年2月


後記:

そういえば、余談ですが、智恵子さんの生まれは福島県です。311の東日本大震災で被害を受け、原発で美しい自然が破壊されている現状を今頃、天空から眺めては、嘆いているのではないでしょうか。彼女が 恋しかった“ほんとの空”は、もう、福島にも、東京にも、日本中、いえ、世界中、放射能で汚染されていって、人間が自然を汚して、どこにもないような気さえします。私も、あなた(智恵子さん)のいふ“ほんとの空”が今こそ、みたいです。こんなない物ねだりをすることも、大人げないのも、智恵子さんらしい仕草や言動であったのではないかしらと、段々と、あなたに近づいてきたような、そんな妖気がしてきました。

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